禁止改定は突然に
8/3深夜、それは突然舞い込んできた。
ラルクを聞きながら酒を飲みうとうとしていたところに雷鳴のように禁止改定が雪崩れこんできた。
スタンダードで《荒野の再生》《時を解す者、テフェリー》《成長のらせん》《大釜の使い魔》の4種類
ヒストリックで《荒野の再生》《時を解す者、テフェリー》の2種類
パイオニアで《真実を覆すもの》《隠された手、ケシス》《歩行バリスタ》《死の国からの脱出》の4種類
ついでにブロールで《時を解す者、テフェリー》の1種類
がそれぞれ禁止カードに制定された。
多くね?
スタンダードの禁止カードはそのほとんどがPTF前にやっておくかM21の発売のころにやっておけよと思う内容で、パイオニアの禁止カードについても7/13の改定でやっておくかもっと前からやれよと思う内容だ(ヒストリックは最近のジャンプスタートのカード実装やアリーナオープンの告知があってから環境がしっかり構築されてきていたような感じなので正直原野を再禁止にしたくない意図を考えると再生がちょうどいい気がする)。
一応それぞれのカードを見ていこうと思う。
《荒野の再生》
どうしてマナが全て起きるんですか?
どうしてシングルシンボルなんですか?
どうして複数誘発できるようにしたんですか?
今までのスタン壊れ組が次々と弱体、禁止されていった果てに待っていた「~~再生」デッキのパーツ
絶対多くの人がいろいろ書くのであえて多くは書かない。
上から叩いていけば環境を是正できるはずというWotCの浅はかな考えをあざ笑うかのように雌伏の時を経て(雌伏などしていない)競技環境に再登場しメタを染め上げ禁止されていった。
《時を解す者、テフェリー》
このPWにこれだけ能力を詰め込んで3マナにしたのは誰だぁ!
採用しない意味の方が薄いレベルで汎用性が高くMTGの特徴を一つ完全に奪い相手だけハースストーンさせるPW
一応環境トップの「~~再生」デッキや不快デッキとして槍玉にあがりやすい「~~フラッシュ」デッキへのキラーカードとしての側面もあったがPTFで対「再生」デッキへの同型を出し抜くための「4C再生」が生まれ、そこで相手の再生だけ無力化しつつ自分の再生と後続を通すために使われるようになりついにお縄となった。
《成長のらせん》
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》がおそらく禁止にできないためこっちが身代わりとして禁止になった…と言いたいところだが明らかにこちらもぶっ壊れている環境そのものを定義しているカード。
土地加速をインスタントタイミングで行ってさらにアンタップインも可能な上キャントリップまでついてくるのは明らかにオーバーパワー
ヒストリックで《探検》と併用すればわかるがインスタントなのが本当にインチキ臭い。
スタン範囲限定だけでも「青絡みランドをアンタップインから神秘の論争」「占術ランドを置いて相手の出方を見てから次のドローの意思決定ができる」をたった2マナでできる取り回しの良さが異常に良く青緑のデッキで入れない方がおかしいレベルのカードだ。
正直今回禁止になって一番影響が大きいのはこのカードだと思っており、《荒野の再生》を使わない「スゥルタイランプ」や「バントランプ」なんかも形やレンジを変えざるを得なくなるのではないかと踏んでいる。
《大釜の使い魔》
こいつはおそらく次環境及びスタン落ちローテーション後を見越しての環境整備のために禁止されたと思っている。
この猫は《魔女のかまど》とのコンボによって地上ビートダウンの多くをサクリファイスの仕様によりシャットアウトしつつ、地味ながらも影響の大きいEtB効果のドレインで相手のビートダウンを萎えさせるアグロデッキがいまいち活躍できない主原因の1つだ。
「サクリファイス」デッキは「再生」デッキに勝てない、しかし「再生」デッキを打ち倒すためにアグロを組むと「サクリファイス」デッキに勝てなくなるとはよく言われたもので環境の二番手として「ファイアーズ」デッキがいた前環境からトップをメタるデッキを食いトップメタをさらに躍進させるコバンザメポジションだった。
これでアグロが次環境生き生きとしだす…と思いたいが新たな蓋閉めデッキが現れないとも限らないのが怖いところ。
パイオニアに関しては環境に存在するコンボデッキのパーツが軒並み上から叩かれていった感がある。
あまりやっていないので偉そうには書けないが一応紹介を。
《真実を覆すもの》
《タッサの神託者》or《神秘を操る者、ジェイス》とのコンボデッキである「青黒インバーター」のキーパーツ
「青黒コントロール」としてふるまいつつ場と墓地を整えたら《真実を覆すもの》と信託者orジェイスを出して決めにかかる。
コンボパーツとしてだけではなく本体性能も高めで6/6飛行を優秀な青黒のスペルでサポートしつつコンボに頼らずライフを削り切るプランすら取れるのが強み。
PT名古屋の後すぐ禁止になってもおかしくなかったが長い執行猶予だったようだ。
《隠された手、ケシス》
7/13での《ニッサの誓い》禁止解除で躍進が期待されたカードだがパイオニアのコンボ環境の再来を危惧しての保険的な禁止か?
なのであまり言うことがない。
《歩行バリスタ》
《太陽冠のヘリオッド》との無限1+/+1カウンターを用いた「バリカスコンボ」デッキのパーツ
「白信心」のようなアグロデッキとしてふるまいつつヘリオッドとバリスタが揃ったらコンボし削れなかったライフを削り切る。
コンボカードとしてだけではなく「バリカスコンボ」デッキでは小回りが利く除去をしながらビートダウンもできなくはない汎用枠でもあった。
「ランプ」デッキでは大量マナの注ぎ先として優秀でフィニッシュ手段にもなりやすい他、「鱗」デッキでも1+/+1カウンターの便利な使い手として採用されていた。
「バリカスコンボ」にだけ注目されやすいが意外と影響範囲は大きいかも?
《死の国からの脱出》
墓地がある限りなんでもコンボになるコンボのためのカード
《睡蓮の原野》に《慢性的な水害》を張った状態で《見えざる糸》を繰り返しデッキをセルフLOしたのち《タッサの神託者》で特殊勝利する「ロータスコンボ」デッキのパーツ
墓地のカードの枚数さえあれば墓地に落ちたコンボパーツすらパーツとしてカウントできるのでルーティングスペルなどで手札の質を向上させつつ墓地を肥やすだけでコンボの準備が完了してしまう実質1枚コンボ製造機はパイオニアでは許されなかった。
ヒストリックは若干スタンダードと環境が違うが《荒野の再生》と《時を解す者、テフェリー》はそれでもトップレベルのカードだったので「どこのフォーマットに行ってもこいつらかよやーめた」をアリーナで引き起こさないための措置ではないかと推察できる。
ブロールも…なのか?
いずれにせよ環境の変化はスタン、パイオニアで相当大きい。
なにせここ数か月の常識が完全に砕けて消えてしまったのだから…